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【実話怪談⑥】旅行地でのラジオ体操【彼の正体と変わらぬ容姿】

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こんにちわ。紅蓮です。

 

夏になると、旅行をする人も増えて来るものですが、そんな時には、必ずついて回るものがあります。それは、幽霊のお話です。

 

というのも旅行というのは、日常を忘れるためにするもので、ある意味非日常を感じるために行くものともいえるものです。今回はそんな旅行に関するちょっと怖い不思議なお話です。

 

僕には7つ上に姉がいて、両親と姉と僕の4人家族で生活しています。もう今はお亡くなりになりましたが、祖母も近くに住んでいたこともあり、毎年お盆の頃には、家族と祖母の5人で、同じ場所に旅行に行くのが、恒例となっていました。

 

そんな小学3年生の夏休みのこと。その年もまた5人での旅行をたのしもうと、1週間ほど旅行に行くことになりました。

 

旅行地は、W県の山側で、近くにきれいな小川が流れており、ちょっと歩くと海が見えてくるそんな町でした。

 

山側に行くとクワガタやカブトムシが取り放題。地方都市育ちの僕にとっては、ゲームよりも楽しい遊び場でした。

 

旅館のはす向かいには、木造の古く大きな小学校があり、夏休み期間中は、その小学校の生徒や先生が、毎朝校庭でラジオ体操が開催されています。

 

地方都市ではラジオ体操自体が珍しく、いくのにも面倒くささを感じていましたが、何回か参加すると、顔見知りの友達ができ、駄菓子がもらえるのが、ちょっとした楽しみにもなりました。

 

そんなラジオ体操が、5回目を迎えた時のことです。

 

その日は、いつも参加している人が少なく、5~6人だったと思います。それと先生が数人と、近所のおじいちゃんたちが3人くらいが参加していました。

 

ふと気づくと校庭の片隅にある大きな切り株にポツンと1人、座りながらこちらを見ている男の子がいることに気が付きました。

 

ラジオ体操に参加するでもなく、切り株に座ったまま、じーっとこっちを見ています。「何をしてるのかな」と思いながらも体操を終えて、駄菓子を受け取り、旅館の方に帰ろうとすると、その男の子がまだ、座っている。

 

なんか可愛そうに見えてきちゃった僕は、自分から話しかけました。

「ぼく・・・ 紅蓮。・・・ 関西から来たんだ・・・ 」

 

すると男の子はうつむいたまま、目も合わせずに、こう言いました。

「オレ・・・ ユースケ! 話しかけてくれて、ありがとう!」

 

その姿を見た僕は、「暗いやつだな」と思ったんですが、立ち上がった時にタンクトップに紺色の短パンを履いたユースケ君の手足に、アオタンがあるのを発見しました。

 

年のころは僕より少し背が高かったので、同い年か、1つくらい年上くらいかなと思いました。

 

「ケガしてるじゃん、一緒に旅館に行こうよ」と僕が言うと、彼は困った顔をしながらついてきました。

 

一通り手当が終わり話を聞いた後、一緒に遊びました。

ユースケ君の通っている学校の校庭で遊具で遊んだり、森に分け入ってカブトムシを捕ったり、海水浴をしたりしました。

 

でも気になることが一つだけあったんです。それは彼がラジオ体操には参加せず、必ず切り株に座って見ていること。そして僕が声をかけると、立ち上がり、夕方暗くなる頃まで一緒に遊び回っていることです。

 

楽しい時間は、あっという間に過ぎて、帰る日のその朝、僕は大変なことに気付きました。ユースケ君と遊んだ時、翌日に帰ることを彼に言いそびれていた僕は、その日の朝もラジオ体操に参加して、その時に言おうと思っていました。

 

ところが、渋滞を避けるため、朝早めに帰路に着こうということになり、結局最後のラジオ体操にはいけずじまいでした。

 

僕は彼にお別れをいうことも出来ず、そのまま車に乗って、帰路につきました。

そんな切ない思い出から1年が経ち、小学4年生の夏休みもまた旅行に行くことになりました。

 

旅行に行くのは楽しみでしたが、どこかにユースケ君がいるのではないかという気持ちで、眠れないでいました。

 

今年もラジオ体操があることを確認して、明日の朝、必ず起こしてもらえるよう、両親に何度もお願いしました。

 

翌朝、期待に胸を躍らせながら小学校に行くと、ユースケ君の姿はどこにもありません。

 

沈む気持ちを隠すことが出来ず、ラジオ体操を終え、お菓子の列に並んでいる時、ふとあの切り株の方を見ると、なんとユースケ君が座っているのが見えました。

 

僕は嬉しさのあまり、お菓子をもらうのも忘れて、ユースケ君の方にはしりました。

 

彼の元まで駆け寄った僕は、うれしさと緊張のあまりに息を切らせて、問いかけてみました。

 

「ユースケ君! 僕、紅蓮。 覚えてる?」

「紅蓮君! 久しぶりだね! 覚えてるよ」

 

そう言って立ち上がったユースケ君は、小さく見えました。

1年ぶりに再会した2人は、あっていなかった1年の月日などなかったかのように、旅行中の7日間、毎日会って遊びました。

 

その年の冬休みのことです。父がたの祖父が調子が悪いということで、年が明けたらすぐに、祖父の家に行こうということになりました。

 

僕は祖父に会えるのも楽しみでしたが、病気だしなと思って家に向かいました。

夏場ほどの渋滞もなく、スムーズに祖父の家にたどり着くと、僕はすぐに祖父にききました。

 

「ねぇ、じいちゃん。大丈夫?」祖父は僕にこう言いました。「おお、紅蓮。友だちもつれてきてくれたのかい」僕はその時にちょっとびっくりして、聞き返しました。

「じいちゃん、何言ってるの?家族できたから、今日は僕たちだけだよ。」

 

すると、祖父は僕の右横を差し、「そこにお前と同じくらいの子がいるよ、友達じゃないのかい」といいました。

 

僕は祖父にその子の風貌を聞いて、驚きました。それはあのユースケ君の容姿と酷似していたからです。

 

しかも服装は冬なのに、着ている服装は、真夏のラジオ体操の時、彼が着ていた白いタンクトップに紺色の短パンと、全く同じ服装です。

 

薄っすらと雪が積もる真冬のこの時期に、どう考えても不釣り合いです。

「そう言えばユースケ君、去年も、おととしもあの格好だったな・・・」

その体つきは、初めて出会った2年半前から、全く変わっていないようです。

 

改めて思い出すと、初めて出会った時のショウジ君と翌年の彼は、背格好が同じで、全く成長していません。

 

その時に気づきました。彼がこの世のものではないことに…。何だか急に怖くなった僕は、両親に帰ろうといい、家まで走って帰りました。


家に帰るまでの間、彼の初めて出会った時の言葉が耳についてはなれませんでした。

「気付いてくれてありがとう」

 

あれは・・・ きっと誰にも気づいてもらえなくて、僕が気づいたからだったのでしょうか。

 

後日談として、僕はこの話を調べてみると、ラジオ体操をしていた学校は閉鎖的な学校で、転校してきた子供をなかなか受け入れないということで、いじめのようなこともあったといわれていることがわかりました。

 

そして、彼もその一人であることがわかりました。

その翌年には、祖母もなくなりその地に旅行することはなくなったので、そのあとのことはわかりませんが、彼はまだあの地に一人でずっといるのでしょうか。

 

そう考えると怖いながらも、かわいそうな気持ちになってしまいます。

 

いかがでしたか?今回は旅行にまつわる非日常がもたらす怖いお話でしたが、旅行していた時には、こういうことって結構あったりします。

 

もしかしたら、あなたの隣にも霊といえる存在がいるかもしれません。気を付けてみてみるとよいでしょう。

 

ではまた次の記事でお会いしましょう。