こんにちわ、紅蓮です。
今回は、僕の聞いた実話の怖い話をお話していきます。
もう5年前くらいになりますか。仕事が終わった後、僕に仕事を教えてくれた師匠と飲んでいた時に教えてもらったお話です。
当時僕は入ったばかりの半導体テストエンジニアで、ある一人の定年間近の人から、仕事を習うことになりました。その人が僕が飲んでいるときに、この話をしてくれた師匠、山田さん(仮名)です。
この山田さん、退職するその日になって、僕にぽろっといった言葉があります。
「明日から何をしよう」
ほぼ45年間の間、がむしゃらにわき目も振らず働いてきたのでなんの趣味もなく、かといってこれから趣味を作ることも想像できないから、退屈なことしか想像ができないっていうんです。
僕からすれば、「働かなくても貯金もあるし、国からもお金もらえるんだから、生活リズムを落として仕事をせずに、ゆっくりしたら?」なんて思いましたが、そこはやっぱり日本人。
ゆっくりしてたら、「時間を無駄にしているんじゃないか」って感じるんでしょう。ゆっくりできないっていうんです。
でも退屈な時間をたのしめないもんだから、気ばっかり焦って何か始めないとって思ったときに、ウォーキング始めようって思ったらしいです。
きっかけはある日、山田さんがスマホを見ていた時に、目に入ってきた1つのウェブ広告。そこには「定年後の暇つぶし、散歩と仕事の両立で運動不足解消。ポスティングのお手伝いをしてみませんか?」と書かれていたそうです。
「まさにこれ、今の自分に対する問いかけだろう。」彼はそう思ったそうです。ただ歩くだけだったら、お金にならないですし、飽きたらやめてしまうかもしれないですから。
でもポスティングだったられっきとした「仕事」になります。「一度引き受けたら、逃げることもできない、夏までに5キロ痩せる目標を作ってやってみよう」とおもったそうです。
そう思った師匠、奥様に相談して、OKが出たもんだから、テンション上がりきって大変です。興奮して眠れない中、翌日広告に書いてあった会社に早速電話を入れると、その場で採用され、いよいよ彼はウキウキになりました。
採用されて登録を済ませた彼、その帰りにジャージと運動靴をかって、準備万端で最初の仕事日を待っていたそうです。
仕事自体は、自宅に郵送されてくるポスティング用のチラシを、期限内に近隣の住宅に配って回る簡単なものです。二日後に、2000枚のチラシが届いたといいます。
届いた日、一見してかなりの量なので、期限内にすべて配れるかと不安がよぎったといいますが、いざとなったら「奥さんにも手伝ってもらったらいいか」なんて軽く考えていたって言うんです。
幸い、山田さんが住んでいたのは住宅街。はじめての割には順調に数をこなすことができたらしいです。
でも、同じ家に同じチラシが2枚入ってはいけないというルールがあったので、2日目、3日目ともなると、自分の家の近くでは到底配り切れないことに頭抱えたといいます。
それでも、ようやく5日目で2,000枚配り終えて、上々の滑り出しを切ったのでした。それから数日たって、今度は5,000枚のチラシが送られてきたらしいです。それを見た彼、「配る範囲広げないといけないな」こう思ったっていうんですよ。
真っ先に浮かんだのは、前回は行かなかった隣町のK町。K町は家から徒歩で1時間ほどの場所にある町。坂が多く、団地がいっぱいある住宅街です。
彼はそれを思い出し、「マンションがいっぱいあるし、ポスティングにうってつけじゃないか」とK町に向かいました。
それでも行ってみるとポスティング禁止の張り紙や「許可なくエントランスに入ることは禁止」という警察官を召喚する脅しめいた看板があることが多く、なかなかうまくいきません。
うなだれながら歩いていた彼の目に、1つの団地が目に入ります。そこは1階のフロアに集合ポストがある古いマンションタイプ。
5つの号棟があって、東と西に分かれているから、ポスティングにはうってつけです。うれしくなった彼は、どんどんポスティングをしていきます。1号棟、2号棟、3号棟とみるみるチラシは減っていきました。
顔をほくほくさせた彼が、4号棟に入ったときのこと。下から、101号、102号と順番にポスティングをしていくと、402号のポストだけ、押し返す感じがあったそうです。
時々、長期不在にしている家のポストもあるから、入りにくいだけかなって思ってその時は気にしなかったそうです。
ポスティングの仕事をした人ならわかると思いますが、スピードが命です。ポストに入らなかったら、あきらめて次に移るのがセオリーです。
でも、なぜか彼はあきらめられなかったらしいです。そこで彼、入らなかった402号室のポストの口を押し広げて中を見たらしいんです。
すると、真っ暗な闇の中から、指が4本出ているではありませんか。
彼、あまりの怖さに気を失ってしまい、気が付くと病院だったそうです。K町のマンションの前で倒れていたところを住民の人に発見されて、運ばれたそうです。話を聞く限り、出ていた指を見たのは事実だそうです。
しかしその後、心配する奥様からポスティングの仕事を辞めるように言われ、辞めてしまったそうです。出ていた指が何なのか気にはなるものの、K町に行く機会もないので確認する術もないようです。
何が起こったのかわからないという怖い話を効かせてもらいました。